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2009年07月 アーカイブ

“熱く”そして“冷静”な中国市場

 最近、中国人向けの個人旅行ビザの解禁とともに、“中国人富裕層”と言う言葉をよく耳にするようになった。中国全体の経済発展状況から判断し、世界は中国個人消費に注目しているようである。今回の個人観光ビザ向けにおける“中国人富裕層”は年収25万元(およそ350万円)以上と定義されている。この数値は日本人にはなかなか想像しにくいかと思うが、日本における年収1,000万円以上と同じレベルに相当する。
このような“富裕層”は中国に果たしてどれほど存在するのか。中国出身の筆者でも年収25万元以上という条件が現実的なのかと少し心配していた。
しかしながら、最近のある調査によりその心配は払拭された。米金融大手メリルリンチと仏調査会社キャップジェミニによる調査によると、今回の世界的金融危機の影響で世界の富裕層人口が2008年に15%減り、保有資産は約2割減ったという。地域別に見ると北米が大きく落ち込む一方で、アジア太平洋の比重が増している。今回の調査における、“富裕層”とは持ち家を除く金融資産を100万ドル(約9,500万円)以上持つ人と定義し、その数は08年末に約860万人と07年末から150万人減ったという。そうした中、上位5カ国に初めて中国の姿が現れた。第1位の米国(246万人)、第2位の日本(137万人)、第3位のドイツ(81万人)は前年と同じたが、第4位は中国(36万4000人)で前年4位だった英国(36万2000人)と逆転した。(※1)
また、マッキンゼー2008年の中国消費調査報告(※2)によると、2015年まで月収5,000元以上の新富裕層家庭の数は400万世帯となり、全都市人口の1/3に占め、消費金額も全消費額の1/2になるそうだ。今、中国人富裕層(※3)の多くはまだ北京、上海、広州、深圳など東、中南部の1級都市にいるが、今後国家の政策とともに、東北地方の沿岸部及び内陸の2級、3級都市からも目を離せないだろうと考えられる。
上記のような調査結果から考えると“富裕層”という定義には先ほど冒頭で触れた“年収25万元の富裕層”とはまったく別次元の富裕層も存在するが、今回のビザ解禁で定義された年収25万元というラインは、中国での“富裕層”の一般的な定義なのである。

 こうした中国人富裕層の消費意識・消費傾向としては、より合理的、最先端の技術商品(デジタル商品など)への投資が比較的多く、高技術商品の“アーリーアダプター”と呼ばれている。この点を証明した調査としてMasterCard2008年で発表した《中国富裕阶层品牌偏好》(※4)(訳:《中国富裕層のブランドに対する好み》)がある。この調査によると、36.3%の富裕層は国際有名ブランドの支持者であり、海外の有名ブランドは彼らの中で揺るぎにくい地位がある。また19.8%の富裕層は国内の高級ブランドを支持し、特に、上海の富裕層は中国内ブランドを支持する人の比率が最も高い。また、彼らは商品を選ぶ際に、重視するものとしては商品の認知度(68.3%)、最新のデザイン(58.5%)、商品の“エコ度”(48%)を挙げている。

 以上のことから考えると、彼らは商品の品質はもちろん、商品はどれだけ環境にやさしいのか、企業はどれだけ環境問題に取り組んできたのか、商品に“エコ度”が表示されているかどうかなども彼らは商品を選ぶ際の重要ポイントになっている。マッキンゼー2008年の中国消費調査報告によると、従来から広いカバレッジを持つテレビCMなどの既存媒体から情報を収集することとあわせて、その情報の信用性と真実性をネットで検証するという行動パターンは現代中国消費者に根付いている。インターネットの普及とともに、より多くの消費者は“真の情報”を求め始めたのである。オンラインBBS、コミュニティは彼らの情報交換、検証の“場”となり、そして、年齢層が若ければ若いほど商品を購入前にインターネット上で商品の情報を収集する傾向が強まっている。彼らにとって公式サイトの情報よりオンライン、オフラインの“口コミ情報”はより信頼できると考えているのだ。(※5)

 いろいろなデータ、ニュースから中国市場は今世界中から注目を浴びている。しかし、“熱い”市場であることは確かだが、一方で彼らは“冷静”に商品を選択している。合理的かつ理性的な中国消費者に対して日本をはじめ海外の企業は中国の消費者の特徴を把握し中国人富裕層ニーズに合わせた戦略を設計することが求められるのではないだろうか。
 
※1 NIKKEI NET:世界の富裕層人口、08年15%減 中国、4位に浮上
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M25003%2026062009&g=G1&d=20090626
※2 ≪中国消費者年度調査報告08≫(By McKinsey&Company)
http://www.mckinsey.com/locations/chinatraditional/pdf/2008_Chinese_Consumer_Survey_cn.pdf
※3 ここの富裕層は年収25万元以上の人たちを定義している。
※4  MasterCard中国
http://www.mastercard.com/cn/personal/zh/promotions/local_news/local_news_080219.html
※ 5 ≪中国消費者年度調査報告08≫(By McKinsey&Company)
http://www.mckinsey.com/locations/chinatraditional/pdf/2008_Chinese_Consumer_Survey_cn.pdf


(執筆:CBMグループ A・G)

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<プロフィール>
中国瀋陽出身、来日8年。日本の大学院を卒業し、経営管理学修士を
取得。現在はアカウントエグゼクティブとして、日本企業の海外向け
ウェブプロモーション及び訪日外国人に向けたウェブプロモーション
の提案を行う。
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2009年07月のエントリー