中国富裕層のファッション消費動向
アメリカの大手コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーは2009年4月、中国富裕層(世帯年収25万元<*1>以上)が2015年に400万世帯を超えると発表した(*2)。中国はアメリカ、日本、イギリスに続く富裕層の多い国となる。現在、中国の富裕層の中で、北京、上海、広州、深圳4都市に住む人が30%を占め、人口の上位10都市を合計すると約50%に及ぶ。アメリカの富裕層が上位10都市で25%しか占めていないことから考えると、中国の富裕層が限られた都市部に集中していることが分かる。さらに、先進国の富裕層の平均年齢は50歳だが、中国富裕層の平均年齢は40歳と若い。こうした中国富裕層の人々は大きなマーケットとして今注目されている。なかでも、今回はファッションに焦点をあてて中国富裕層の消費行動を説明したい。
彼らのファッションに対する消費行動にはいくつかの特徴がある。
●50歳以上と50歳未満
50歳以上の富裕層はファッションに対する情熱をほとんど持たない。それは彼らが経験した時代が貧しかったためで、彼らはファッションへのこだわりがない。その半面、50歳未満の富裕層、特に25~35歳ではファッションに対して、世界ブランドへの強いあこがれを持っている。
●男性と女性
ファッションは女性向けの分野と思われていたが、近年、中国男性向けのファッションブランドも多くなり、北京のデパートでは男性専用フロアもオープンした。消費者の6割はブランド品を身につけることが成功の証しだと考えているようだ(*3)。ビジネスに成功した男性にとってのファッションブランドは身分の象徴であり、この傾向は女性以上に強いのだろう。
●海岸都市から内陸地方都市へ
中国の富裕層は海岸都市に集中していたが、大都市にとどまらず、山西省、湖南省などの内陸地方都市へと拡大し、消費も活発である。こうした背景から日本企業の「平和堂」は内陸である湖南省でデパート進出を果たし、順調に売り上げを伸ばしているという事例もある(*4)。
●高額なブランドと手頃なブランド
新富裕層の中でも常に高額なブランドを追求する人と、手頃なブランドを追求する人とに分かれる。高額なブランドを追求する人は高い金額を払ってでもこだわりのブランド品を追い求める。中国富裕層が好きなブランドランキングでは、1位GIORGIO ARMANI、2位Louis Vuitton、3位ALFRED DUNHILLとなっている。
一方、手頃な価格帯のブランドを追求する人は流行のものを短期間かつスピーディーに提供するNIKEやZARAといったブランドを好み、人気を集めている。
また、新生代市場監視機構によると、2009年、中国富裕層(特に若い富裕層)のインターネット利用がさらに増大した。昨年の金融危機や、新型インフルエンザの流行により、普段忙しい富裕層も在宅の時間が増え、インターネットを利用する頻度も増えたと考えられる。また、インターネットで情報収集するだけでなく、買い物をする人も増えた。CNNIC(China Internet Network Information Center)が2009年11月に発表したデータによると、中国国内でのネットショッピングのユーザー数は8,788万人に達している(*5)。だが、この数字はまだインターネット人口のわずか26%にしか過ぎず、今後、大きな市場として期待ができそうだ。さらに、ネットショッピングを利用する人が増加傾向にある中で、特に、富裕層の利用頻度が高いという結果も出ている。月収5,000元以下のユーザーが年間10回以上ネットで買い物をする割合は9.3%だが、月収5,000元以上のユーザーでは21.1%を占めている。ネットショッピングで購入する商品は、50%がファッション関連のものだ。そして、ショッピングサイトを探す際に検索エンジンを利用するのは全体の34%。商品を探す際にも27.1%の人が検索エンジンを利用する。
中国のネットショッピング市場は、今年には日本の市場とほぼ同じ規模になると予想されている(*6)。CtoCサイトである「淘宝网」が76.5%と一番シェアが大きく、BtoC市場では「卓越アマゾン」「当当网」のほか、CtoCサイト「淘宝」が提供する「淘宝商城」にも注目が集まる。1月27日には、楽天が中国国内最大の検索エンジン「百度」と提携し、ネットショッピング市場の開拓を大きく前進させた(*7)。今後、「楽天&百度」vs「淘宝商城」の図式が全体にどう影響をもたらすのか、さらに注視したい。
*1 1元=13.2円(2010年2月25日現在)
*2 マッキンゼー・アンド・カンパニー調査報告書
http://www.mckinsey.co.jp/services/si/pdf/report_01-J.pdf
*3 中国时尚品牌网(中国ファッションブランドサイト)
http://content.chinasspp.com/News/Detail/2008-4-19/60625.htm
*4 平和堂プレスリリース
http://www.heiwado.jp/release/20090928.pdf
*5 CNNIC (China Internet Network Information Center)
http://research.cnnic.cn/html/1259815780d1624.html
*6 iResearchプレスリリース
http://irs.iresearch.com.cn/Consulting/Online_Shopping/DetailNews.asp?id=79078
*7 楽天プレスリリース
http://corp.rakuten.co.jp/newsrelease/2010/0127.html









