2010年03月04日

中国富裕層のファッション消費動向

 アメリカの大手コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーは2009年4月、中国富裕層(世帯年収25万元<*1>以上)が2015年に400万世帯を超えると発表した(*2)。中国はアメリカ、日本、イギリスに続く富裕層の多い国となる。現在、中国の富裕層の中で、北京、上海、広州、深圳4都市に住む人が30%を占め、人口の上位10都市を合計すると約50%に及ぶ。アメリカの富裕層が上位10都市で25%しか占めていないことから考えると、中国の富裕層が限られた都市部に集中していることが分かる。さらに、先進国の富裕層の平均年齢は50歳だが、中国富裕層の平均年齢は40歳と若い。こうした中国富裕層の人々は大きなマーケットとして今注目されている。なかでも、今回はファッションに焦点をあてて中国富裕層の消費行動を説明したい。

 彼らのファッションに対する消費行動にはいくつかの特徴がある。

●50歳以上と50歳未満
 50歳以上の富裕層はファッションに対する情熱をほとんど持たない。それは彼らが経験した時代が貧しかったためで、彼らはファッションへのこだわりがない。その半面、50歳未満の富裕層、特に25~35歳ではファッションに対して、世界ブランドへの強いあこがれを持っている。

●男性と女性
 ファッションは女性向けの分野と思われていたが、近年、中国男性向けのファッションブランドも多くなり、北京のデパートでは男性専用フロアもオープンした。消費者の6割はブランド品を身につけることが成功の証しだと考えているようだ(*3)。ビジネスに成功した男性にとってのファッションブランドは身分の象徴であり、この傾向は女性以上に強いのだろう。

●海岸都市から内陸地方都市へ
 中国の富裕層は海岸都市に集中していたが、大都市にとどまらず、山西省、湖南省などの内陸地方都市へと拡大し、消費も活発である。こうした背景から日本企業の「平和堂」は内陸である湖南省でデパート進出を果たし、順調に売り上げを伸ばしているという事例もある(*4)。

●高額なブランドと手頃なブランド
 新富裕層の中でも常に高額なブランドを追求する人と、手頃なブランドを追求する人とに分かれる。高額なブランドを追求する人は高い金額を払ってでもこだわりのブランド品を追い求める。中国富裕層が好きなブランドランキングでは、1位GIORGIO ARMANI、2位Louis Vuitton、3位ALFRED DUNHILLとなっている。
 一方、手頃な価格帯のブランドを追求する人は流行のものを短期間かつスピーディーに提供するNIKEやZARAといったブランドを好み、人気を集めている。

 また、新生代市場監視機構によると、2009年、中国富裕層(特に若い富裕層)のインターネット利用がさらに増大した。昨年の金融危機や、新型インフルエンザの流行により、普段忙しい富裕層も在宅の時間が増え、インターネットを利用する頻度も増えたと考えられる。また、インターネットで情報収集するだけでなく、買い物をする人も増えた。CNNIC(China Internet Network Information Center)が2009年11月に発表したデータによると、中国国内でのネットショッピングのユーザー数は8,788万人に達している(*5)。だが、この数字はまだインターネット人口のわずか26%にしか過ぎず、今後、大きな市場として期待ができそうだ。さらに、ネットショッピングを利用する人が増加傾向にある中で、特に、富裕層の利用頻度が高いという結果も出ている。月収5,000元以下のユーザーが年間10回以上ネットで買い物をする割合は9.3%だが、月収5,000元以上のユーザーでは21.1%を占めている。ネットショッピングで購入する商品は、50%がファッション関連のものだ。そして、ショッピングサイトを探す際に検索エンジンを利用するのは全体の34%。商品を探す際にも27.1%の人が検索エンジンを利用する。
中国のネットショッピング市場は、今年には日本の市場とほぼ同じ規模になると予想されている(*6)。CtoCサイトである「淘宝网」が76.5%と一番シェアが大きく、BtoC市場では「卓越アマゾン」「当当网」のほか、CtoCサイト「淘宝」が提供する「淘宝商城」にも注目が集まる。1月27日には、楽天が中国国内最大の検索エンジン「百度」と提携し、ネットショッピング市場の開拓を大きく前進させた(*7)。今後、「楽天&百度」vs「淘宝商城」の図式が全体にどう影響をもたらすのか、さらに注視したい。

*1 1元=13.2円(2010年2月25日現在)
*2 マッキンゼー・アンド・カンパニー調査報告書
http://www.mckinsey.co.jp/services/si/pdf/report_01-J.pdf
*3  中国时尚品牌网(中国ファッションブランドサイト)
http://content.chinasspp.com/News/Detail/2008-4-19/60625.htm
*4  平和堂プレスリリース
http://www.heiwado.jp/release/20090928.pdf
*5  CNNIC (China Internet Network Information Center)
http://research.cnnic.cn/html/1259815780d1624.html
*6  iResearchプレスリリース
http://irs.iresearch.com.cn/Consulting/Online_Shopping/DetailNews.asp?id=79078
*7  楽天プレスリリース
http://corp.rakuten.co.jp/newsrelease/2010/0127.html

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2010年01月19日

2009年中国人海外旅行動向

 中国では1年に2度、大型連休がある。一つは10月の建国記念日前後、もう一つは旧正月前後だ。それぞれ7日間の長期休暇があり、その期間を利用して旅行に行く中国人がますます増えてきた。従来、旧正月は家族が集まり、家で新年を迎えることが一般的だったが、最近では家族と旅行に出かける傾向が見られるようになった。この背景には、ふだん、仕事で休みが取りにくいとされる「80後*1」の企業家やホワイトカラー層が、旧正月にはまとまった休みが取れるといったことがある。さらに、国内だけでなく、海外旅行のニーズも高まり、中国人は旅行に対し、ますます積極的になってきている。

1.海外旅行客の「三高」傾向―高学歴、高収入、高消費
 2009年7月に発表された「全国旅行者満足度調査報告*2」によると、海外旅行へ行く中国人は高学歴、高収入、高消費の「三高」が特徴だ。全体の91.1%が大学卒業以上の学歴をもち、収入が月収3,000元以上の人が67.1%を占めている。海外での一人当たり消費金額が1,000ドル以上と答えた人は、91%に及んだ。

2.サイトやBBSなどインターネットを通じて旅行情報を収集
 前述の「全国旅行者満足度調査報告」によると、67.1%の人が旅行関連サイトやBBSを利用して旅行情報を収集すると答えている。一方、情報収集の傾向について、「百度データ研究センター*3」は、2008年、2009年10月の大型連休前後における旅行関連の検索データの報告を発表した。
同報告によると、2009年10月の旅行に関する検索数は前年と比べて36.4%増加した。さらに、検索キーワードにおいては、地名や場所など具体的な名称が目立った。また、旅行サイトで検索するユーザーは、2008年の12.6%から2009年は17.1%へ増加した。旅行を検討する際に、インターネットを利用して様々な情報収集を行い、旅行先の候補を探すことが一般的になりつつあるようだ。2009年10月の旅行で実際に検索された地域ではバリ島、ドバイ、モルディブがトップ3を占めている。

3.アジア近辺の観光地が依然人気、年末チャーター便増加
海外旅行は従来一度の旅行でなるべく多くの観光地を回ることが一般的だったが、最近の傾向としてはテーマ性が高いものや中身が充実したプランの人気が高まっている。旅行先はアジア近辺の人気が高く、2010年の旧正月を利用した旅行先では、とくに東南アジア地域の人気が急上昇した。東南アジアへのチャーター便が増えたこと、現地でビザ申請ができるようになり行きやすくなったことが、需要の拡大に貢献しているようだ。ただし、政局が不安定なことが懸念材料となっている。
 一方、日本や韓国といった東アジア地域へ旅行する人も増えている。日本への旅行は「ショッピング、温泉、美食」が3大テーマとされており、大手旅行サイト「携程旅行網*4」によると、2009年10月の連休でも大人気だった。

2009年7月、日本政府は中国人個人観光ビザを解禁し、最初の1カ月で1,200人以上の個人旅行者が日本を訪れた。彼らのほとんどは「80後」、いわゆる中国の「新富裕層*5」が中心。彼らは旅行先の選択肢が広く、インターネットを利用し、情報収集を行う傾向が最も強い。海外旅行に行く人は年々増加しており、今後、中国人観光客を誘致する際に、「新富裕層」の特徴を把握した上でマーケティング展開をすることが重要となってくるだろう。

参考資料:
1:1980年以降に生まれた世代
2:中国国家旅行局監修による中国国家旅行研究院の調査リポートhttp://www.drcnet.com.cn/DRCnet.common.web/DocViewSummary.aspx?version=normal&docid=2005393&leafid=3060
3:「百度データ研究センター」中国最大の検索エンジン「百度」の検索データ研究センター
http://data.baidu.com/lvyou/
4:中国の大手旅行サイト
http://www.ctrip.com/
5:中国の新しい富裕層
http://www.cbm-ch.jp/blog/2009/05/post_29.html


(執筆:アウングローバルマーケティング株式会社 セールスグループ)

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2009年12月16日

金融危機中に見る中国人の消費変化

 昨年9月のリーマンショックをきっかけに、世界的な金融危機が広がっていった。アメリカをはじめ、ヨーロッパ各国、日本など、世界の先進国は次々と金融機関の経営破綻、失業率の上昇、消費者の消費意欲低下などの危機的状態に陥った。もちろん、このような世界規模の金融危機は、高度経済成長を続ける中国も免れられない。
 今回の金融危機での中国消費者への影響は、2009年のMcKinseyによる中国消費者に対する調査レポートから分かる。2008年3月の中国消費者自信指数※1は94.3%に対して、2009年3月には86.0%まで落ちており、最近5年間の最低水準だった。特に低収入層及び深圳など輸出入に依存している地域の消費者が受けた影響は最も大きかった。しかし、GDPの増加及び中国政府の景気刺激策(6,027億米ドル)のおかげで、消費者自信指数はリーマンショック後、今年5月(86.7%)に初めて上がった。その数値の変化は中国消費が除々に回復し、従来の消費に戻っていることを示している。
 金融危機後の中国市場は、まだ完全ではないが回復の兆しは明らかだ。そして、今回の金融危機を経験した中国消費者の消費行動が少し変わったことも事実である。
その変化をいくつかの点でまとめてみた。
 
1)成熟してきた消費者
 過去の経験から鑑みると、中国の回復力は早い。※2今回も同様である。アメリカなど先進国と同様に消費の低下を体験したあと、わずか約1年でリーマンショック前の2008年3月ごろの消費水準に戻っている。さらに、2009年6月の消費総額は前年度比15%増、自動車の消費額48%増、住宅消費は54%増となっている。※3
 加えて、消費者たちはより付加価値の高いものを求めるようになった。例えば、シャンプー市場から見ると、以前は、P&G、ユニリーバなど大手5社が、高い市場シェアを持っていたが、2008年まで5社の市場シェアは2001年の58%から46%に落ちている。その理由はより多くの消費者が、シャンプーの多様性を求めたためと考えられる。つまり、通常のうるおいやバサつきを防ぐ効果のものだけではなく、育毛促進、頭皮ケアなど様々な効果のあるシャンプーを要求するようになったのである。そうした消費者のニーズに適したシャンプーを大手以外のメーカー提供し、消費者もそれを購入する傾向が高くなったのである。
また、最近はカルシウムが多く含まれているチョコレートがブームになっている。中国の消費者はチョコレートに対しても、単に甘さや美味しさだけではなく、付加価値にも敏感に反応している様子が伺える。

2)ブランドからクオリティへ、スマートな消費に
 2009年“山寨”(shanzhai)※4とう言葉が中国では流行っている。“山寨文化”は中国中央テレビ局CCTVでも取り上げられ、簡単にいうと、昔の“海賊版”のことである。しかし、昔と比べ異なったのは今の“山寨”商品は外観だけではなく、機能や内部の技術レベルも正規品と差が少なくなっている点である。むしろそれ以上の製品を作り上げることもある。その中で“山寨携帯電話”の消費量は2006年の1,700万台から2008年の6,200万台に増えてきた。正規品の半分以下の値段で正規品とほぼ同じくらいの機能を持っているのは“山寨品”の魅力である。
“山寨現象”を声援するというわけではないが、McKinseyの調査結果より、近年、消費者のブランド品に対するロイヤリティが、低下していることがわかった。より多くの消費者は有名ブランドよりもっと費用対効果が良く、そして付加価値の高い商品を求めている。この現象は何年も前から起きているが、今回の金融危機のため、さらに多くの消費者に影響を与えた。商品の実用価値を重視する消費者は2008年の17%から2009年の27%に上ってきた。一方、液晶テレビを購入する際に、ブランドを重視する消費者は2007年の75%から2009年の63%に下がった。
 さらに、以前も紹介したように、より安い値段で良いものを手に入れるため、ネット上で情報収集したうえで購入を検討する消費者は増えている。商品口コミサイトへの訪問数は2008年と比べ50%増となっており※5、特に、過去1年間に、ネットで調べてから購入した消費者の中で45才~64才の方は10.6%から13.2%増加している。この傾向は今後ますます増加するのではないかと予測する。

3)もっと便宜な購入ルートへ
 金融危機以降、多くの消費者はより安い購入ルートを選んでいる。インターネットの普及とともに、インターネットショップ、小売ショップなどの購入が増えている。その反面、百貨店、デパートなどでの消費離れ現象が起きている。今回McKinseyの調査報告による、被調査者の3/4は2009年にインターネットで最新の携帯電話を購入した。この数値は2008年と比べ、倍以上増加した。そのほかに、化粧品やベビー用品などの購入においでインターネットショップなどを選ぶ消費者は2008年の73%から2009年の88%に増加した。

 今回の金融危機は中国の消費者にとっては“短い悪夢”だったとは言え、その中から中国消費者が得たのは、経験と知恵である。よりスマートになった中国消費者のニーズはますます多様化するであろう。また、それこそが、中国市場成長の大きな原動力になると考える。一方、今まで企業の目を引いてきた30代~40代の消費層のほかに、これからの中高年市場も静かに動き出している。

(アウングローバルマーケティング株式会社 セールスグループ)

※1 日本語で“消費者信頼感指数”のこと。消費者の意識調査を行い指数化したもの。
※2 2003年SARSの時、消費者自信指数はわずか半年で最低の86から95の高水準に戻った。
※3  McKinsey2009年中国消費者調査レポートによる
※4 香港から流れてきた言葉である。もともとは小規模の工場、製造所などのことを指している。そこから出た商品は“山寨品”という。いわゆる非正規品のことである。
※5  MyMetrix媒体傾向調査2009年データ

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2009年11月13日

年代別に見る中国女性の消費動向

 1949年の新中国(※1)成立後、女性の社会進出が始まり、特に改革開放以降はますます顕著になってきた。今日までの60年間、それぞれ異なる時代背景の中で育ってきた女性たちの消費は、どのように違うのだろうか。前回は「試客」「不三女」といったキーワードから中国女性の消費を探ったが、今回は年代別に見た中国女性の消費動向について紹介したい。

「90後」(1990年以降に生まれた人)――衝動買いによる消費
 「90後」はほとんど親元から独立しておらず、収入面では乏しい。しかしながら、流行に左右されやすく、情報収集力が高い。そのため、消費欲望は強く、貯蓄するよりも消費する傾向が強い。つまり、計画的に購入するといった理性消費の観念は持っておらず、衝動買いをすることが非常に多い。

「80後」(1980年以降に生まれた人)――自己表現のための消費
 「80後」のほとんどの女性は、社会と職場の主力である。この年代はホワイトカラーが多く、巨大な潜在購買力を持っている。彼女たちの購買力や購買意識は企業のマーケティング戦略に大きな影響を及ぼしているといえる。
中国女性の幸福指数調査(※2)によると、20~30代女性の消費習慣は、自分への投資を重視し、自己表現意識が強いことが分かった。消費習慣項目を見ると、56%の女性は給料の4分の1をファッション、香水、化粧品の購入にあてている。また、自己表現意識に関して重視する点として、39%の人は「外見」、25%の人は「キャリア」を挙げ、投資を行っている人は7%だった。
さらに、「80後」の女性はブランド意識が高く、彼女たちが現在の中国ネットショッピングの主力となっているといっても過言ではない。理性消費の観念を持っており、自己表現を重視するのが、この年齢層の特徴である。

「70後」(1970年以降に生まれた人)――冷静かつ理性的な消費
 結婚し、家庭を持つ人が多い「70後」女性は、教育、住宅、健康保険、交通手段(クルマ)などが消費の中心だが、彼女たちは理性的にお金を使う傾向にある。日常生活の中でも冷静に自分が好きなブランドを選び、外観より中身と品質を重視している。スマートな買い物を求めているのがこの年齢層の特徴である。

「70前」(1970年より前に生まれた人)――伝統と現代融合の消費
 「70前」とは、50~60歳くらいの女性たちを指すことが多い。筆者の母も「70前」世代であるが、彼女たちは文化大革命、上山下郷運動(※3)など苦難な日々を経験し、改革開放後の成果も味わってきた。倹約を重視し、必要なところにしか消費しないのが、彼女たちの共通点である。一方、改革開放後にビジネスで成功した女性の場合、高級ブランド品を買うなど物質生活を追求するとともに、海外旅行や健康面など自分へのご褒美(ほうび)に消費している人も多い。

 13億人の巨大中国市場において、全人口の48.7%を占めている女性の消費は無視できない(※4)。女性が中心のファッション、化粧品市場だけではなく、自動車、住宅など高額な耐久消費財市場においても女性の発言権と決定権は強くなってきている傾向にある。
今後、各世代の女性の消費心理を理解することは、中国全体の市場を考えていく際に重視されていくだろう。

(アウングローバルマーケティング株式会社 セールスグループ)

※ 1「新中国」:1949年【中華人民共和国】の設立により、中国の歴史に新たな1ページを開いたという意味で使われる中国における特有の呼び方。
※ 2≪中山女性3S幸福指数調査≫ 2009年7月
※ 3中国文化大革命期間、青少年たちは農村から学ぶ必要があるとして大規模な徴農(国民を義務的に農業へ従事させる制度)と地方移送が開始されたこと。
※ 4 Baidu百科 http://baike.baidu.com/view/1471031.htm

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2009年10月05日

中国女性の消費動向 ~「試客」「不三女」と呼ばれる女性たち~

世界のあらゆる国と同様に、中国においても消費の主体は、やはり女性であると言われている。
 中国女性の消費というと、独身女性と思われがちだが、既婚女性においても同様のことが言える。つまり、家庭の中でも、女性は自分自身のファッション消費だけではなく、夫や子供の日常消費も妻が主導権を握っているからである。特に、中国では、40%以上の家庭では女性が財布のひもを握っている。男性主導の家庭はたった20%しかない。(*1)
 1年に一度、年末に開催される「年度新漢語コンテスト」で、2008年に、ある新しい消費者群の呼び名である「試客」という言葉が人々の注目を集めた。「試客」というのはサンプル商品をもらい、新商品などの試用に熱心な人々のことを表現している。中国では数年前から、サンプル、クーポン券などが利用されており、店頭や街中でサンプルなどを配って、消費者の興味を引き出し、さらに商品購入まで誘導するという方法が浸透している。さらに、2年前から専門の「サンプルサイト」が相次いでオープンし、サンプルの配布チャネルも多様化してきた。
 中国最初のサンプルサイト「試用網」のコンセプトは“I try before I buy”。シンプルであるが、確実に消費者に新しい購入決定プロセスを提示した。設立後1年で、すでに会員数は300万人を超え、その多くは25~30歳、月収3,000元(*2)以上の高学歴層だそうだ。そのうち80%は、ほぼ毎月各種のイベントに参加する熱心な会員である。
 現在、中国の「試客層」は約400~500万人にまで増え、そのうち20~40代のホワイトカラー女性が最も多いと言われている。先日、中国青年報社会調査センターが北京益派コンサルティングとともに3,314人に実施したアンケート結果を見ると、83.3%の人が「試客」になりたいと答えた。また、76.6%の人は「80後」と呼ばれる80年代以後に生まれた人たちである。「どんな商品のサンプルがほしいか」との質問に対しては、79.1%の人が「電子製品」と答え、「日常用品」(63.9%)、「旅行体験商品」(54.6%)、「服・アクセサリー」(53.8%)、「美容サービス・化粧品」(41.1%)、「食品」(37.4%)が続いた。また、消費者の74.5%は「試客」が新しく、かつ理性的な消費概念をリードしていると思うと考え、「試客」という消費形式により衝動買いを回避できると思うと答えた消費者は、6割近く(58.1%)に及んだ。(*3)
 さらに、もっと「理性消費(*4)」を徹底している女性消費者は、「不三女」と呼ばれている。「衝動買いをしない」「流行に流されない」「人と比較しない」というのが3つの原則だ。
 「不三女」の登場によって、「理性消費」という概念は、ますます中国消費者の中で浸透してきている。急速な経済成長は確実に消費者の財布を膨らませたが、一方で、より合理的な消費を求めようとする人々も増え続けている。それは日常の消費活動だけではなく、中国人にとって最もお金をかけると言われる結婚披露宴でも同様で、最近では従来のコース料理よりビュッフェの人気が高まりつつある。経済の成熟とともに、中国の消費者は、自分に必要な商品やサービスを理性的に選択する選別眼と、消費マインドが浸透し続けているようだ。

(アウングローバルマーケティング株式会社 セールスグループ)

※1 出典元:王光亜 現代女性消費心理マーケティング戦略, 2007
※2  1元=約13.2円(2009年9月29日現在)
※3 データ出典:中国青年報 http://zqb.cyol.com/content/2009-06/16/content_2712476.htm
※4 理性消費:必要かどうかを考え、計画的に購入すること。

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2009年07月31日

“熱く”そして“冷静”な中国市場

 最近、中国人向けの個人旅行ビザの解禁とともに、“中国人富裕層”と言う言葉をよく耳にするようになった。中国全体の経済発展状況から判断し、世界は中国個人消費に注目しているようである。今回の個人観光ビザ向けにおける“中国人富裕層”は年収25万元(およそ350万円)以上と定義されている。この数値は日本人にはなかなか想像しにくいかと思うが、日本における年収1,000万円以上と同じレベルに相当する。
このような“富裕層”は中国に果たしてどれほど存在するのか。中国出身の筆者でも年収25万元以上という条件が現実的なのかと少し心配していた。
しかしながら、最近のある調査によりその心配は払拭された。米金融大手メリルリンチと仏調査会社キャップジェミニによる調査によると、今回の世界的金融危機の影響で世界の富裕層人口が2008年に15%減り、保有資産は約2割減ったという。地域別に見ると北米が大きく落ち込む一方で、アジア太平洋の比重が増している。今回の調査における、“富裕層”とは持ち家を除く金融資産を100万ドル(約9,500万円)以上持つ人と定義し、その数は08年末に約860万人と07年末から150万人減ったという。そうした中、上位5カ国に初めて中国の姿が現れた。第1位の米国(246万人)、第2位の日本(137万人)、第3位のドイツ(81万人)は前年と同じたが、第4位は中国(36万4000人)で前年4位だった英国(36万2000人)と逆転した。(※1)
また、マッキンゼー2008年の中国消費調査報告(※2)によると、2015年まで月収5,000元以上の新富裕層家庭の数は400万世帯となり、全都市人口の1/3に占め、消費金額も全消費額の1/2になるそうだ。今、中国人富裕層(※3)の多くはまだ北京、上海、広州、深圳など東、中南部の1級都市にいるが、今後国家の政策とともに、東北地方の沿岸部及び内陸の2級、3級都市からも目を離せないだろうと考えられる。
上記のような調査結果から考えると“富裕層”という定義には先ほど冒頭で触れた“年収25万元の富裕層”とはまったく別次元の富裕層も存在するが、今回のビザ解禁で定義された年収25万元というラインは、中国での“富裕層”の一般的な定義なのである。

 こうした中国人富裕層の消費意識・消費傾向としては、より合理的、最先端の技術商品(デジタル商品など)への投資が比較的多く、高技術商品の“アーリーアダプター”と呼ばれている。この点を証明した調査としてMasterCard2008年で発表した《中国富裕阶层品牌偏好》(※4)(訳:《中国富裕層のブランドに対する好み》)がある。この調査によると、36.3%の富裕層は国際有名ブランドの支持者であり、海外の有名ブランドは彼らの中で揺るぎにくい地位がある。また19.8%の富裕層は国内の高級ブランドを支持し、特に、上海の富裕層は中国内ブランドを支持する人の比率が最も高い。また、彼らは商品を選ぶ際に、重視するものとしては商品の認知度(68.3%)、最新のデザイン(58.5%)、商品の“エコ度”(48%)を挙げている。

 以上のことから考えると、彼らは商品の品質はもちろん、商品はどれだけ環境にやさしいのか、企業はどれだけ環境問題に取り組んできたのか、商品に“エコ度”が表示されているかどうかなども彼らは商品を選ぶ際の重要ポイントになっている。マッキンゼー2008年の中国消費調査報告によると、従来から広いカバレッジを持つテレビCMなどの既存媒体から情報を収集することとあわせて、その情報の信用性と真実性をネットで検証するという行動パターンは現代中国消費者に根付いている。インターネットの普及とともに、より多くの消費者は“真の情報”を求め始めたのである。オンラインBBS、コミュニティは彼らの情報交換、検証の“場”となり、そして、年齢層が若ければ若いほど商品を購入前にインターネット上で商品の情報を収集する傾向が強まっている。彼らにとって公式サイトの情報よりオンライン、オフラインの“口コミ情報”はより信頼できると考えているのだ。(※5)

 いろいろなデータ、ニュースから中国市場は今世界中から注目を浴びている。しかし、“熱い”市場であることは確かだが、一方で彼らは“冷静”に商品を選択している。合理的かつ理性的な中国消費者に対して日本をはじめ海外の企業は中国の消費者の特徴を把握し中国人富裕層ニーズに合わせた戦略を設計することが求められるのではないだろうか。
 
※1 NIKKEI NET:世界の富裕層人口、08年15%減 中国、4位に浮上
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M25003%2026062009&g=G1&d=20090626
※2 ≪中国消費者年度調査報告08≫(By McKinsey&Company)
http://www.mckinsey.com/locations/chinatraditional/pdf/2008_Chinese_Consumer_Survey_cn.pdf
※3 ここの富裕層は年収25万元以上の人たちを定義している。
※4  MasterCard中国
http://www.mastercard.com/cn/personal/zh/promotions/local_news/local_news_080219.html
※ 5 ≪中国消費者年度調査報告08≫(By McKinsey&Company)
http://www.mckinsey.com/locations/chinatraditional/pdf/2008_Chinese_Consumer_Survey_cn.pdf


(執筆:CBMグループ A・G)

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<プロフィール>
中国瀋陽出身、来日8年。日本の大学院を卒業し、経営管理学修士を
取得。現在はアカウントエグゼクティブとして、日本企業の海外向け
ウェブプロモーション及び訪日外国人に向けたウェブプロモーション
の提案を行う。
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2009年05月01日

中国の“新富裕層”はどこにいる?

いつの頃からか中国では“80后(バリンホウ)”,“90后(ジュリンホウ)”という言葉が流行り始めました。これらは”80年代以降生まれ、90年代以降生まれ”のことを指しています。
中国では80年代から「一人っ子政策」が始まり、筆者もそのうちの一人です。“80后”の数は2005年までに3.3億人に上ってきました。私たちは70年代に生まれた世代に比べ、比較的豊かな環境の中で育てられ、“貯金”という概念は頭の中にほとんどありません。自分らしさを追求し、“消費行為”から得られる快感を楽しんでいます。

私たちの親世代はもっと“物質消費”を重視していました。例えば、お金があれば、まず、冷蔵庫、テレビなどの家電や家など必要なもの・資産となるものを購入します。一方、“80后”はより“自分の楽しみのための消費”を重要視します。CD、MP3、DS、国内・海外旅行、ネットサーフィンなどに支出しています。“80后”以降の消費行動と消費心理は上の世代と比べ、大きな変化が起きたことが分かります。私たちの消費に対する考え方は、従来の節約・保守型のものから大きく変わり、前向きに自分に投資、挑戦するために最新の商品やサービスにお金を使おうという傾向が強くなってきました。パソコン、インターネット、ブランド品、車、旅行など自分の価値を高めてくれるものは私たちの“大好物”です。

“80后”,“90后”につけられているニックネームをいくつかご紹介しましょう。
私たち世代のことをわかりやすく表しています。

・小皇帝 小さな皇帝。一人っ子の為大事に甘やかされて育つ
・月光族 給料を貯金もせずに浪費してしまう
・草苺族 イチゴのような温室育ちで、打たれ弱い
・宅男宅女 家で過ごし、PCやゲーム、アニメに夢中になる
・透明族 自分自身に投資をし、計画的に将来を考える

周りからよく私たちの親世代を「消費の素人」、私たちを「消費の達人」と呼びます。実は、私たちは消費ばかりではなく、「起業の達人」でもあります。特に、IT業界では何億元もの資産を得ることはもう夢ではありません。

李想:泡泡网CEO(PCPOP.COM)
1981年生まれ、高校卒業、年収1千万元、個人資産評価2億元

茅侃侃:MaJoy CEO
1986年生まれ、中学卒業、個人資産評価3億元

赵宁:非常在线CEO
1983年生まれ、企業翌年黒字経営、個人資産評価1億元

中国市場では“80后、90后”の存在は無視できません。彼らは新しい中国市場誕生の象徴です。この世代の存在は中国を従来の“世界の工場”から“世界の市場”へ少しずつ変えていく大きな要因となるはずです。これから中国市場のマーケットとしての開拓を考えている企業は、私たちのような“80后、90后”が与える市場へのインパクトに是非注目してみてください。魅力的で刺激あふれる中国市場があなたを待っています。


(執筆:CBMグループ A・G)

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<プロフィール>
中国瀋陽出身、来日8年。日本の大学院を卒業し、経営管理学修士を
取得。現在はアカウントエグゼクティブとして、日本企業の海外向け
ウェブプロモーション及び訪日外国人に向けたウェブプロモーション
の提案を行う。
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2009年04月14日

『Are you ready for 中国游客?』

2009年3月、中国国家統計局が発表した「2008年中国国民経済と社会発展統計公報」によると、2008年中国の出国者数は4,584万人に上り、このうち海外旅行などの私的な理由による出国者数は、4,013万人となります。出国目的別から見ると、私的な理由での出国数は全体の87.5%を占めていました。中国は既にアジア最大の海外旅行供給国になりました。

また、昨年旅行客数が上位に占めている旅行先としては「香港」、「マカオ」、「日本」、「韓国」、「ベトナム」、「米国」、「ロシア」、「シンガポール」、「タイ」、「マレーシア」という順番となります。「香港」と「マカオ」はビザの制限が殆どないため、行きやすい旅行先となっています。「日本」が中国海外旅行先定番の「タイ」と「韓国」につづき3位につけています。

では、何故多くの中国人が日本を選ぶのでしょう。もちろん地理的な要素も考えられますが、中国旅行者が日本での行動パターンから見ると、観光しながら質の良いものをまとめて購入できるという理由で日本を選んだ方が多いと考えられます。

日本での旅行中に買い求めた商品の種類から見ると、デジタル商品やブランド品以外にアジア人の肌質に合う日本化粧品、スキンケア商品は定番の購入商品となっています。また、昨年9月に発覚した中国毒粉ミルク事件の影響で、海外で粉ミルクを買い求める現象が起こり、中国旅行団が訪れた場所で粉ミルクが売り切れてなくなるという話が一時期に話題にもなりました。さらに、健康意識を高めてきた中国人にとって海外でサプリメントの購入も人気となります。

また、日本への旅行者数の増加によって、日本特有の商品や業界を中国語で呼びやすいように様々な中国語単語が新しく生まれてきました。例えば「マツモトキヨシ」のようなドラッグストアですが、元々ドラックストアと同じ意味を持つ中国語が存在せず、現在「ドラックストア」のことは中国旅行者の間で「药妆店」という新しい名前で呼ばれています。
「日本药妆店」(日本ドラックストア)というキーワードは中国の検索大手Baiduでは大よそ月間3,000検索数があり、Google中国では大よそ平均月間2,800検索数があります(2009/04/07に調査)。検索数だけで見ても、日本のドラックストアに興味を抱いた中国旅行者、あるいは旅行からの帰国者が多く存在しています。日本旅行を来る前に購入予定がある商品について事前にインターネットで調査したり、BBSで質問を投げたりしているユーザーも多く見られます。

こういった状況の中に日本政府が中国からの旅行客増を見込んで、中国人へ旅行ビザ発行条件を緩和し、特に今年の7月から中国富裕層の個人旅行を解禁する方針を示しました。訪日の中国旅行者がますます増えてくることは間違いありません。日本の企業様、中国旅行者を迎える準備はできていますか。

※参考URL:http://www.stats.gov.cn/


(執筆:CBMグループK.R)
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中国出身、日本の大学ではグローバル事業経営を専攻した。来日7年。
現在は、アカウントエグゼクティブとして、日本企業の海外における
ウェブプロモーション活動への提案を中心に行う。
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2009年02月19日

世間は狭い!?

海外売上高が売上げ全体の過半数を超すグローバル企業が日本には多くあります。私は過去7年間ウェブ開発に携わってきました。その間、世界へ情報を発信したいグローバル企業を多数ご支援してきました。インターネットはボーダレスといいますが、世界中の人々が同一のデータを参照することができることに、いまだに感動してしまいます。

さて、この7年間にインターネットは信じられないほどの成長を成し遂げました。ご存知のとおりユーザー数も爆発的に増え、パソコンマニアが中心だったマーケットは老若男女の一般ユーザーが大半を占めるところまで変化しました。
ユーザーの行動も進化がありました。かつてインターネットの情報はURLのリストからリンクを辿って閲覧されていました。偶然見つけたリンクをつなぐ様子を比喩して「ネットサーフィン」と呼ばれていた時期もあります。まだまだ数少なかったウェブサイトから偶然にも自分が欲しい情報に出会うことは宝物を発掘するように楽しかったのを今でも覚えています。今では、検索エンジンを利用するのが一般的となり、探している情報を検索結果という形でレコメンドしてくれるようになりました。

ところで偶然といえば、こんなことがありました。先日、休暇を利用して滞在した海外旅行先で驚くべき出会いがありました。アジアの果ての小さな島の、さらに端にある小さなホテルで朝食を取っていると、向かいのテーブルに日本人のグループが。見かけた日本人は彼らしかいないホテルで出会ったのが、なんと東京の友人でした。あまりの偶然に、お互いよく似た他人だと思ってしまったほどの出会いでした。世界というと、とても広い気がします。その広い世界でバッタリ友人に出会った驚きに、強烈な「縁」を感じずにはいられませんでした。地球の総面積は約5億1千万平方キロメートルで、その70%が海。世界人口は2010年には69億人を超えるそうです。そう思うと出会いは奇跡というより他にありません。
しかし、友人とバッタリ出会うことはある意味当然とも思えます。なぜならそもそも興味を持つ対象を共有しているから友人なわけです。出かける場所が似ていたり、欲しいものが一緒だったり、見たいものが同じだったりと、なんらか共通の価値観をもっているわけです。もしかしたら共通の情報を閲覧しているのかもしれません。と、考えれば偶然の出会いは必然に感じられてきます。つまり世界は広いけど、世間は狭いのです。

 話しは戻りまして、インターネット。世界中にネットワークが張りめぐらされた無限に広がる世界です。その世界で漠然と情報を捜す、もしくは情報を探す人を見つけることは大変なように思えます。しかし、現代では、ひとりひとりのユーザーは検索エンジンを通じて、自分の好みの情報を効率的に探しており、とても保守的で限られたキーワードを利用して検索を繰り返しています。その結果として同じ価値観を持ったユーザーと企業が結びつくわけです。
であるならば「偶然の出会い」を仕掛けてビジネスチャンスを広げることができると思いませんか? 世界のインターネット市場では多くの競合企業がユーザーとの偶然の出会いを仕掛け、実際にコンタクトしています。ですが、有名日本企業でも多くの場合、残念ながら社名以外でのキーワードでの検索順位が100位圏外であることが多い現状です。日本の技術やサービスを必要としている人に存在が知られていない。これは非常に悔しいことです。日本企業は本質的に、高品質の技術やサービスを所有しています。せっかくの武器を必要としているところへ、ベストなタイミングで提案できなければ大きな機会損失につながりかねません。そのような損失を防ぐためにも、また世界のイニシアチブを握るためにもグローバルインターネットでは積極的に自己主張をするべきです。ユーザーのパソコン画面に表示される機会を増やすことで出会いの確立を高め、出会ったユーザーに必要な情報を過不足なく提供する。ユーザーの求める「偶然」はキーワードから推測することができます。偶然の出会いを各国の言語、文化に合わせて仕掛けることで、きっと良い「縁」を結べるに違いありません。やはりインターネットの世界でも、世間は狭いと感じられてなりません。


(執筆:CBMグループ K・T)
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<プロフィール>
前職ではウェブを中心としたコミュニケーションツールの開発に従事。
企業がグローバルでイニシアチブを握るための戦略から戦術まで
全体を俯瞰した提案に定評がある。
現在はアカウントエグゼクティブとしてウェブマーケティングを活用した
集客施策から経験を活かした企画プロデュースまでワンストップで提案。
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2009年02月05日

グローバルブランディング

2008年の夏以降、日本、そしてグローバル市場は景気後退を余儀なくされています。そんな中、多くの日系企業はこの厳しい市況を乗り超えるために様々な戦略を打ち出しています。先日いくつかの日系企業のコーポレートサイトを見ていたところ、2009年頭所感に共通してみられるテーマがありました。

それは「グローバル市場における存在感を高める」というテーマです。

近年、国内人口の減少やインバウンド(訪日外国人)ニーズ増加も相まって、海外への進出、また、海外から顧客を集客する企業が増加しています。そして、グローバル市場、特にアジア圏における企業ブランディングの重要性が高まってきています。これは、様々な日系企業の取り組みからも垣間見られます。

例えば、昨年12月の業績が売上高で前年比113.7%と好調な「ユニクロ」も、この1~2年、WEB上でグローバル企業としてのブランディングに力を入れています。また、WEBがボーダレスということもあり、実店舗展開している国のみならず、世界中の国と地域に向けてブランディング展開しています。

一昨年、グローバル市場に向けて「ユニクロック(UNIQLOCK)」という斬新なWEBプロモーション仕掛けてきました。世界3大広告賞を受賞し、世界的にも高い評価を受けているプロモーションです。

「ユニクロック」は時計機能を備えたブログパーツをメインコンテンツとするWEBサイトです。ダンスパフォーマンスや音楽、そして時計という世界共通のコミュニケーションツールを活用し、世界中のユーザーの分布が分かるなど機能も併せ持つことにより、ユニクロの知名度が高いとはいえない国々にも「ユニクロック」は瞬く間に浸透しました。昨年末時点で、ユニクロックのサイトは世界214カ国で1億7000万PVを記録。
ブログパーツは87カ国、5万2000個以上が稼働しており、グローバル市場で「ユニクロ」というブランドの存在感を高められる結果になりました。

ファーストリテイリング(ユニクロ)のクリエイティブ・マネジメントディレクター勝部健太郎氏は、WEB上で【認知】【話題性】を高めることの重要性について下記のように述べています。

「WEBには国境を越える力がある。海外市場へ進出する事業戦略に先んじて、実際の店舗が登場する以前から、ユニクロの情報や評判を各国へ流通させる役割を果たす」(※1)

ユーザーがあらゆる情報をWEBから収集する時代だからこそ、海外展開する事前段階として、企業コーポレートサイトを多言語化し、企業の存在感をグローバル市場で高めるために【認知】【話題性】を目的にターゲットに企業ブランドを訴求する必要があります。

グローバル市場における企業ブランディングを訴求するアプローチ方法としては、新聞、TV、プレスリリース説明会等を利用することも戦略の一つではありますが、市場が広大であるが故に、ROI(投資対効果)を考えると、より効果的にアプローチするのであればSEM(検索エンジンマーケティング)は効果的な手法の1つだと考えられるでしょう。理由としては、ユーザーニーズをセグメントした形で訴求し、膨大な企業情報をストックしている企業コーポレートサイトへ誘導できるからです。


訴求するための具体的なポイントとしては、ターゲットの分類があげられるでしょう。グローバル市場が対象なだけにターゲットの幅が広く、ターゲティングを行なう際に下記のように分類して行なうことが望ましいです。

1. WHERE・・・地域 (国、都市)
2. WHOM・・・ステークホルダー (一般消費者、取引先、株主、地域社会)
3. WHAT・・・コンテンツ (リリース、企業情報、IR、採用)

例えば、中国の都市部の上海や北京に在住の消費者に向けて中国ビジネスのプレスリリースを見てもらいたいという目的があったとしましょう。対象言語は、中国語(簡体字)ですが、訴求ターゲットが消費者であり、ステークホルダーの地域社会に対してでもあります。そうすると、先ず消費者は投資家では無いので、対象社名や商品名を知らない可能性が高いです。つまり、リリース内容と関連する一般名詞キーワードで検索するユーザーをコーポレートサイトへ誘導してあげることが重要な鍵となります。

上記のように一般名詞で検索することが多いと推測される場合、キーワードの種類は、多岐に渡ってきます。よって、キーワードの選定がポイントになってきます。また、複数あるリリースに対しても、内容に応じてキーワードを選定し、ユーザーニーズをセグメントした上で訴求できる点も特徴です。

「グローバル市場における存在感を高める」という目的を果たすためにあらゆるステークホルダーに企業のコーポレートサイトをみてもらうことは必要不可欠であり、その目的を果たすための手法の一つとしてSEMはとても効果的に活用することができるでしょう。

WEBプロモーションの効果を十分に理解しそして活用し、より多くの日系企業がグローバル市場において存在感を高めて活躍することを願っています。

(執筆:CBMグループ M・Y)

(※1)Microsoft Advertising 「業界インタビュー」より

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